第40章 顕現
待ってる部屋の襖の前に来ると手が震えた
「主?手が震えてるけど大丈夫?」
「だ、大丈夫」
「主はここで待ってて、僕が兄様呼んでくるから」
私の動作に見兼ねた小夜はそう言うと、中へ入っていく
主なのに、こんな頼ってばかりで申し訳ないな
心で思っていると少しして小夜と宗三さんが出てきた
「体調は大丈夫ですか?中に入りましょう。僕と小夜がついてます」
宗三さんはそう言うと私の肩をだいて中へ入った
目の前にはかなりやつれた光忠と長谷部がいた
「光忠、ごめんなさい。長谷部、ごめんなさい」
二人を見て私はいたたまれなくなって土下座した
「私がここに来なければこんな事にならなかった……本当にごめんなさい。本当に、ごめんなさい」
顔をあげずにいると肩を掴まれた
「主が謝ることじゃない、僕に責任があるんだ。お願いだから、僕が消えるから代わりに新しい僕を迎えてあげて」
光忠のその一言に思考回路が停止して、顔を上げて光忠に掴みかかって声を上げた
「は?何いってんの?新しい光忠?意味わかんないんだけど、私が嫌いな言葉言わないでよ。消えないって約束して、ねぇお願い、居なくならないで、私の前から、みんないなくならないで」
言いきると、いろんな記憶がフラッシュバックしてきて、頭がくらくらして呼吸するのを忘れるくらい封印していたはずの嫌な記憶ばかりが浮かんでくる
「主、しっかりしてください」
長谷部が後ろから肩を掴んで光忠から離した