第35章 鍛刀と狡さ
暫く歩いていると目の前から光忠が歩いてきた
私の顔を見るなり走って私の元へ来た
「佳奈!顔色が悪いじゃないか……だから一人で鍛刀させたくなかったんだよ」
「光忠きて」
光忠の腕を掴んで鍛刀部屋へと急いだ
鍛刀部屋へと入り光忠はパネルを見ると驚いていた
「これは………」
「まだ分からないけど祈りを強く込めて鍛刀したらこの結果で、ビックリしすぎて誰か呼ばなきゃって思って」
「凄いけど無理しすぎだよ。霊力が減ってるし、顕現は明日にしよう」
「でも、今小夜と宗三さんと伽羅ちゃん呼んでくるからっ」
「ダメなものはダメだ。ほら部屋出よう」
「離して、お願い」
腕を掴まれ、振り払おうとするも所詮男の力には叶わない
「駄々こねるなんてカッコ悪いからね」
「いやだ、ねぇ、光忠、っ」
視界が少し狭まりバランスを崩しそうになるも光忠が受け止めてくれた
「そうやって立ちくらみ起きてるのも霊力が減ってるからだよ。それに何時間やってたの…もう夕餉の時間だ。言うこと聞けない悪い子はお仕置きしなきゃいけないから素直になって」
そう囁いて耳元でリップ音を立てて離れた
「さ、行こうか」
ずるい
私がこういうの弱いこと知っててやるから本当にずるい