第34章 伊達男
部屋に戻り、布団を敷いて火鉢をつけて布団の中へ入った
凄くひんやりしていて寒くてたまらなかった
寝るのに邪魔だと思っていたブランケットを敷布団の上に乗せて、大きめのマフラーを広げて羽織るようにして布団に入り直した
1日バタバタしていたからか、すぐにウトウトしてきてそのまま眠りについた
「少し良いか?」
襖の外から声が聞こえてパチっという効果音がなるように目が覚めた
「………ん?……なに………」
布団から上半身を起こして声の主を部屋へ迎え入れた
「……どうしたんですか?」
「光忠に鶴丸と貞宗のこと言われてただろ」
「…はい」
部屋には厚着をした伽羅ちゃんが目の前に座った
「風呂上がりで部屋に行こうとしたら、部屋の前にあんたと光忠が居たから、邪魔するのは悪いと思って遠くから見ていたが…どうしてもあんたのあの時の表情が脳裏にこびりついてて離れない。何があったのか、詳しく話してくれ。誰も咎めない」
伽羅ちゃんはそう言ってわたしの目を捉えて離さなかった
「言っておくが、言うまで寝かさないからな」
見事におどされて私は話すことにした
「……一言でいうと不安です。鍛刀運もドロップ運もめっきりないのに小夜くんと光忠からお願いされて、本当に望みを叶えることが出来るのか本当に不安なんです」
「そうか………あんたはもっと気楽に生きた方がいい。期待に応えられなくてもここの刀達は誰も責めたりはしない」
伽羅ちゃんのその言葉と優しい声に心が暖かくなる
「あんたは背負いすぎだ………こんな時間に悪かった。明日も早いだろ」
そう言うと伽羅ちゃんは立ち上がり襖へと手をかけた
「…ありがとう、ございました」
伽羅ちゃんの背中に声をかけるとそのまま部屋を出ていった
伽羅ちゃんの突撃訪問に少し嬉しくなって布団に再度入り直すも中々寝付けなかった
まさか伽羅ちゃんがくるとは………
励ましてくれたしなんかもう嬉しすぎる
伽羅ちゃんは馴れ合うつもりはないって言うイメージが強かったから本当にびっくりした
明日からもまた頑張らなきゃ
そう思いながらまた深い眠りへと落ちていった