第31章 薬湯はいい湯です
「さて、そろそろ上がるか。立てるか?」
兼さんがそう言い、私は立ち上がろうとして力を入れ、普通に立つことが出来たけど若干腰がまだ痛かった
「大丈夫だけど、ほんの少しまだ痛いかな」
「今日は安静だな」
いやいやいやいや誰のせいこれ
安静にしてるのはしょうがないけどさ
そう思いつつお風呂を出る兼さんの後を付いて行った
服を着替えて自分の髪を乾かして、兼さんの髪を乾かすのを手伝った
「兼さん本当に髪長いよね、まつ毛も長いし、羨ましい」
「んな褒めたって何も出ねぇぞ。つか男に向かってそういうこと言うな」
えーなんて言うと兼さんは後ろを向いて、髪を乾かしてる私の手を掴んで顔を引き寄せてキスをした
すぐに離れ、突然のことに動揺すると口が離れてニッとした笑顔を向けてきた
「顔真っ赤だな」
「だって、不意打ちじゃん!本当にずるいんだから……」
「はは、さぁて、国広も待ってるし佳奈も約束あんだろ?の前にもう飯か……とりあえずこのまま広間向かうか」
兼さんはそう言ってスタスタと歩き出した
待ってこれ、兼さんとわたしが同時に広間に行ったらダメなやつじゃね
絶対何か疑われるやつじゃね?
とりあえずあれだ、時間置いていこう
「兼さん、ごめん、部屋に忘れ物したから取りに行ってくるね!」
私はそう言って一旦部屋へと戻った