第3章 お相手は誰?
会議室を出る足取りは少しだけ重い。
「ユウどうすんの?」
『ん?』
「相手。」
倉元が少しも待っていられないといった様子で聞いてくる。
普通に考えてこの平子班でそんな芸当が出来そうなのは倉元か…丈さんがギリギリか。
選択肢がほぼない。
『ねぇ、クインクス班は?琲世くんは?琲世くんでよくない?』
出て行きかけているクインクス班が振り返る。
『不知くんでも、瓜江くんでも面白そう。あ、六月くんだったら全然いけるかも。』
「……(手柄を考えたらアリだな)。」
「ユウさん…!」
会議中はちゃんと蘭乃一等と呼んでいた六月くん。
「僕は全然大丈夫だよ。ユウちゃんが同じ班の人だと後々やりにくいとか、なにか事情があるなら僕がやるよ。」
優しい琲世くんは快く承諾してくれる。
「出来るだけそちらに迷惑の掛からないようにやるつもりだが何かあったら協力してくれ。」
丈さんがそう答えてクインクス班は帰っていった。
残されたのは微妙によそよそしい空気になった平子班。
「あ、じゃあ…用事が…。」
「そうそう、くらもっさんに頼まれたのに忘れてたことが…。」
しかも道端たちはそそくさと逃げていき、残されたのは丈さん、倉元、それからブジン。
頼むからもっとマシな逃げ方をしてくれ。
「…どうしたい?」
丈さんが私に尋ねた。
丈さんか倉元か、琲世くんも…ブジンはあり得ないでしょう。
表情がわかりにくい彼が今は明らかに場違いですみませんと言った顔をしている。
丈さんにお願いするのもなんだか申し訳ないし、倉元は変な空気になりそうだし、正直消去法で琲世くんなんだけどやっぱり他の班を巻き込むと後で問題が起きた時に厄介かもしれない。
『やっぱり丈さん…かなぁ。二人はどうなんですか?』
丈さんと倉元が顔を合わせる。