第2章 驚愕の会議
『もう六月くん行きなよ。六月くんと瓜江くんでいいよ。』
「そ、そんな、蘭乃一等!」
六月くんが叫ぶ。
『なんで?才子ちゃんと不知くんは?』
「才子はそんな感じじゃないっていうか…大人の魅力ゼロっつーかよぅ…。」
琲世くんが口を開きかけてやめた。
『その喰種は…なんなの。』
倉元が半笑いでこっちを見た。
『精液の入った女性器が好きなの?それとも…。』
倉元が噴き出した。
『寝とるのが趣味?もしくは単にラブラブなカップルが嫌いで尚且つ女性が好みとかですか?』
「あ、そのことですけど、死体の状況から見て恐らく、下半身を残していくことも度々あるので、その、女性器目当てではないと思われます。それから男性に捕食の被害がなかったこともあります。」
なるほど。
『どうやって性行為をしているカップルを見つけているんでしょう。』
「匂いというのは難しいでしょうから音ではないかと思っています。」
「それだと一人でやってる男もいるよね?」
せっかく私と琲世くんが会議の体を保つために口調に気をつけていたというのに。
倉元は投げ出したらしい。
「そう思ってこの二ヶ月に絞って、自宅で喰種によって死亡したり、不法侵入や捕食未遂なんかで通報してきた男性がその直前に何をしていたかを調べたんだけど、AV鑑賞中の男性はいなかったよ。」
「つーかAVってそんな大音量で聞かないだろ。」
『でも性行為ってそんな大音量になる?』
思わずポロっとこぼしてしまった不知くんに突っ込むとあたふたされた。
『ごめんごめん。その喰種は音で探してから実際に確認して確信を得てから襲ってるわけだ。じゃあ囮捜査って言ってもAV流しながらそれっぽい動きしてればいいんだ。そうですよね?』
丈さんのほうを向くと困惑した表情。
「まあそういうことになる、が。」
そう、それでもなかなか厳しいことには変わらない。
でもこの中の誰かとセックスしろって言われるよりは断然マシだ。
「えーっと…お願いできますか?」
琲世くんの大きい目が垂れている。
『はい、上から言われたんでしょう。やれなくはないですよ。』
そんな顔されたら嫌な顔も出来ない。
きっと私は困った顔をしていたと思うけど。
丈さんも何も言わないから仕方ない、やるしかないんだ。