第22章 悪い報せ
午後八時。
新しい体制に入ってから、引き継ぎなど様々な問題のおかげで生じた問題を解決しようと、真戸や佐々木、平子、伊東らが一堂に会していた。
午後八時二十分。
伊東倉元の携帯電話震えた。
しかし運悪く彼自身が話している最中だったため、伊東はそれを無視する。
その数分後、次に佐々木の携帯が震えた。
机の上に置いていたその携帯のディスプレイには瓜江の文字。
普段自分から電話してくることなど殆どない瓜江からの着信に、佐々木は眉をひそめた。
しかも班長は不知だから、個人的な電話となると余計に信じられない。
「ハイセどうした?」
「瓜江くんから電話なんです。すみません出てもいいですか?」
「あぁ。」
正式な会議でもなければ特等がいる訳でもない、あっさり了承した平子と真戸に礼を言って佐々木は電話に出た。
「そういや俺もさっき電話きてた…誰だろ。」
伊東も携帯を出す。
「もしもし瓜江くん?え、な、どういうこと?」
佐々木の緊迫した声に平子が素早く顔を上げる。
「あれ、ユウじゃん電話。帰ったはずなのに。…ってまた電話、次は根津かよ。」
伊東が電話に出た瞬間、佐々木が叫んだ。
「ユウちゃんが?!僕が向かった方が…。」
「は?あいつクインケ置いて帰ってんの?!」
思わず目を見合わせる四人。
今の会話から推測される事実は最悪のものだった。
クインケを忘れて帰ったユウが喰種に襲われている。
立ち上がった佐々木の手から伊東が携帯を奪った。
驚く佐々木。
「瓜江くんどこって?わかった。俺が行く。」
電話を持ち替えて伊東が根津に指示を出した。
「悪い、俺とユウのクインケ持って…尾赫の方しかないの?じゃあまだマシだけど…とにかく駐車場きて!」
「俺も行く。」
平子も立ち上がり、伊藤を追って部屋を飛び出した。
午後八時二十五分。
残されたの彼らの資料が風圧で舞うのを見ながら真戸は溜息を吐いた。
「羽赫の方を持っているとは言え、使い物にならんだろう。」
「ユウちゃんはどうなるんでしょう。」
「良くてクインケの暴走だな。」
悪かったらどうなるか、佐々木は聞く気にもなれなかった。
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