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【東京喰種:re】カンツォニエーネ【夢小説】

第17章 喰い返す騎士



クインケが折れた瞬間、丈さんが叫んだ。

「逃げろ!」

どうやって逃げろと。

手から滑り落ちたクインケを拾って、とにかく敵に背を向けないようにする。

それでも生身で避け切るなんて無理で、赫子が肩を切り裂いていく。

折れたクインケで対処しようとしても抵抗するので精一杯。

これはもしかしたら本当に死ぬかも。

そう思った時。

「ユウっ!」

倉元が私の前に立った。

「いくぞタケオミっ!」

センザが赫子を受け止めて跳ね返す。

跳ね返した先でブジンが上から地面に叩きつける。めり込むような強さだ。

それでも尚私に向かって赫子を伸ばしてくる喰種に、もう正常な判断力はないのだろう。

丈さんのクインケが心臓を貫いた。倉元のセンザが的確に頭部を直撃。

喰種はついに地面に倒れこんだ。

倉元が冷静に喰種にトドメを刺そうと駆け寄る。

もう大丈夫だろうと私もそこに駆け寄った。

倉元がクインケを振り上げる。


喰種が初めて口を開いた。

「俺のカノジョ、どこ?」

私を見ていう。

倉元が一瞬静止した。

『私じゃないわ。』

諦めたように喰種が目を閉じた。

トドメは丈さんに、という決まりはないけどだいたいそうなるのが平子班。

でも今日は倉元が意志を持って近づいて、丈さんはそれに背を向けた。

まるで次の時代を表したような、そんなシーンにちょっと感動して見ているとみんなが集まってくる。

「怪我は?」
『してないです。』
「してるよね?してるね?なんで嘘つくのかな?」

もう倉元はいつも通りに戻っている。ちょっとテンション高いけど。

ブジンがクインケの飛んで行った方を拾ってくれた。

丈さんがジャケットを脱がしてくるから右腕を袖から抜くと、血がダラっと流れる。

肩を切られている。

「CCGに戻るか?」
『いえ、自分でなんとかできます。』

言っても聞かなさそうだと判断したのか丈さんはあっさり頷いた。

「クインケ、どうされますか?」
『ああ、ありがとう。これはもう使えないかな。SSレートで甲赫って知った時に折れるかなとは思ったけど…。』

次もまた羽赫がいいな。

平子班に入った時、私は尾赫を持っていた。

それが経年劣化で壊れた後に丈さんが羽赫を勧めてくれた。

倉元とお互い正反対の良さのクインケを持っていることも気に入っていた。
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