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【東京喰種:re】カンツォニエーネ【夢小説】

第14章 口づけは必殺技



嘘だ、本当に上手くいってしまった。


いや、焦るなまだ蛇面と決まったわけじゃない。
今の言葉はただ怪しげな男が私たちを見ているという合図なだけだから。

「ユウ、帰ろう。」

倉元の目が真剣だった。

『倉元、イヤホン共有する?』
「いや、外しときなよ。」

マジで?

目で訴えかけるも倉元の手が私の耳からイヤホンを引き抜く。

これで私は状況が掴めないまま歩くことになるが、まあ捕食のタイミングがまだまだ先なので良しとしよう。

倉元は片耳イヤホンで私の手を繋いで歩く。


「今日さ、あの子とちょっと良い感じになってたの妬けた。」

琲世くんのことだ。

『ギンくんもいたじゃん。』
「まぁね。でもあれはビビったマジで。」
『だって上司が行けっていうから。』
「ユウの上司ほんと…いや、なんでもない。」

丈さんに怒られたくない。

「でもすごい距離で見つめ合ってたし。」
『だから上司が。』
「でも今からユウにもっとすごいことしちゃうもんね。」

曖昧に笑って倉元の腕に抱きつく。

二人で寄り添って歩く。

でもたぶんダメだ。

足りない、もっと…


「そういやさ、」

倉元が大きな声を出した。

「俺、高校生の頃から財布にゴム入れてるの知ってる?」

え、高校生って…もしかしてアカデミー生の頃から?

『うそ、チャラいよ倉元!』
「さすがに使ったことないけど。だからコンビニで買わなくていいって言おうと思っただけ。今日は少しでも速く家に帰りたい。」

もし、もし丈さんだったら、彼もここまで上手くやったんだろうか。

家について倉元が性急な手つきで鍵を取り出す。

鍵を片手に掴んだのに、突然彼は私を扉に押し付けて、それからキスをした。

唇を押し付けて、下半身も押し付けて、空いた手は頬から滑り落ちて体のラインをなぞる。

倉元のキスは驚くほど情熱的だった。

「あーも、鍵開けんのさえ邪魔くせェ。」

部下のこんなキスを見るなんて、丈さんどんな気持ちなんだろう。

扉を開けて、抱き合って見つめ合ったまま家になだれ込むように入った。



「ご飯、あとでいいよね?」
『うん、はやく倉元が欲しい。』



倉元の向こう側、路上からこちらを伺う男が見えた。



今の絶対聞こえてたでしょ?

おいで。

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