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【東京喰種:re】カンツォニエーネ【夢小説】

第14章 口づけは必殺技


キスしていい?って聞かれたその言葉がずっと頭をぐるぐるしている。

捜査のためなんだから断るわけにもいかず。

今夜キスしていい?
いいよ

その言葉を最後に倉元と別れ、1人電車に乗る。

ガタゴトという揺れに身を任せて目を閉じる。

あと一時間後には激戦が始まっているかもしれない。

もっと言うと死んでるかもしれない。

いつ死んでもいいように準備は出来るけど。





今日も先にみんなが駅に着いていて、倉元が最後だ。

駅について昨日と同じところではなく、もっと人目につきやすいところを探す。

この駅の一番待ち合わせに使われているであろう、小さな時計台のそばの花壇の縁に腰掛けた。

もう夜は暗い。

まだ9時前だし、人の多さは昨日とほぼ同じくらいだ。

白いシャツのボタンを一つ開ける。

中に着ている黒のキャミソールが見えるくらいまでしっかり広げた。

恋人同士の甘い空気は苦手でも、男を引っ掛けるのはそんなに苦手じゃないはず。


お願い"蛇面"、私に気づいて。


「ユウ!お待たせ。」

倉元が走り寄ってくる。

そのまま倉元は私の前に立った。

いつもより5、6センチ低くなった私の頭のてっぺんは倉元の胸のあたり。

「帰ろ。」

あれ?今日は駅前でいちゃいちゃするんじゃなかったのかな。

不思議に思いながらも手を引かれるがままに立ち上がると、そのまま抱き寄せられて倉元の顔が近づいて。

唇の左端を掠め取られた。

途端に周りの目が気になって恥ずかしくなる。

『く、倉元っ…。』
「かっわい。」

だってわざわざ立ち上がってキスだなんて、そっちの方が目立つに…いや、目立つためにやってるんだった。

頭が混乱してきたぞ。

「明日さ、朝ちょっと遅いんだよね。」
『あ、うん。』

倉元の手がいやらしく背中を触る。

撫でるんじゃなくて、指先で刺激を与えるような触り方。

「その気にさせちゃおうかな。」

倉元上手い。

もう感服だ。

なにこの演技力。

琲世くんの言葉を思い出せ。私は倉元を愛してるし、倉元は私を愛している。

愛し合っているから。

『倉元っ…。』

背中にあった倉元の手を掴んで指で絡め取る。

「どした?」
『うん、帰りたい。速く帰ろう。』





「キャッチ。」





駅前の雑踏に紛れて、丈さんの声がはっきりと聞こえた。

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