第13章 琲世先生の触れ合い講座
『いちゃいちゃって何?!ブジン教えて?!』
「そのようなことは佐々木一等が得意だと聞いたことがあります。」
『丈さぁん佐々木一等といちゃいちゃする練習してきてもいいですか〜。』
「あぁ。」
へ?と姿勢を戻して丈さんを見る。
「マジっすか。」
根津も驚いている。
「俺は教えてやれないからな。そういう捜査も大切だろう。ちょうど良いことに佐々木一等は現在第3会議室にいると聞いた。」
いや、本当は佐々木一等がいちゃいちゃ得意だって知ってるブジンにまずツッコミを入れたいところだけど。
『え、あの、行ってきます…。』
弱々しい声でそう言ってデスクから離れるしかできなかった。
*
第3会議室に辿り着く前に琲世くんを捕まえることが出来た。
今日は班長の不知くんだけを連れている。
『琲世くん!不知くん!』
「こんちわーっス。」
「こんにちはユウさん。囮捜査はどうだった?」
『琲世くん。』
「はい。」
『丈さんにいちゃいちゃするのが下手だと言われました。』
不知くんが固まる。
『それからブジン…黒磐くんに佐々木一等はいちゃいちゃするのが得意だって言われました。』
「……?」
琲世くんの首が45度傾く。
『そしたら丈さんが佐々木一等にいちゃいちゃの仕方教わってこいって言われました。』
「いやいやいやいや…。」
「サッサン得意なのか?」
琲世くんは黒磐くん…?と驚いている。
「あー、女の格好がうまかったって言ったことはあるけどな。」
『それかなぁ。』
「いや、おかしいよね。」
その話は後でブジンに聞くとして。
「何が悪いんだろうね。」
改めてCCG一階のロビーのようなところに座る。
『丈さんに真顔だって言われちゃった。』
「えー、それは意外だな。ノリノリで上手くやりそうなのに。」
「サッサン女装もノリノリだったしな。」
ん?今なにか元凶を聞いた気がしたがまあいい。
「ユウさんってもともと、人当たり良くて誰とでも仲良くなる割には一定の距離置くタイプな気がするんだけど、今回は感情移入が足りてなさすぎるんだよ。」
『う、うん…?』
琲世くんの本気の人間観察に圧倒される。