第12章 真夜中の葛藤
ふと目がさめるとあたりは真っ暗。
頭のそばにあった携帯を見ると時刻は4時。
なんでこんな時間に起きたんだ。
寝付きはいい方なのに。
いや、原因は間違いなくこれなんだけどさぁ。
自分の胸元に顔を埋めて眠るユウを恐る恐る見下ろす。
この子、寝る時に枕使わないのね。
まず寝られる場所が本当にベッドしかないのだ。
ソファもない。
カーペットもないからもう床かベッドの二択。
いや、ユウとベッドに寝るか隣の家でタケさんとベッドに寝るかの二択。
タケさん以外の班員は家に帰している。
ユウも無駄に喚かないタイプだし、ベッドしかないのは明白だし、無言で二人で頷いてベッドを見た。言葉はなかった。
これは仕方ないことなんだって俺はずっと心の中で自分に言い聞かせるのに必死だったし。
二人でご飯を作って食べて、代わる代わるお風呂に入って残してきたデスクワークをてきとうに終わらせて。
テレビもないこの部屋で俺は音楽をかけた。
ダイニングテーブルに向かい合って座り、良い感じの音楽を聴きながら普通の話をした。
そんな1日を終わらせて、ベッドに入った時俺はなんだか泣きそうだった。
もう良い歳なのに全然自分の感情が理解できなかった。
普通の日常に憧れはない、捜査官である人生に、自分に、満足している。
ここにいるからみんなに会えた。
その気持ちに100パーセント嘘や翳りはない。
じゃあ俺が今こんなにも満ち足りないと感じるのは?
暑い。
こいつ熱いな。
ユウの肩を触る。
「二人で寝たらいつもより薄い掛け布団でいいんだ…。」
俺の声に反応してか、ユウが小さくうんと言う。
ああもう、もう、、、
ごめん。
ごめんな。
タケさんだったら良かったね。
俺でごめん。
ユウの首の下に左腕をねじ込んで、右手で頭を撫でる。
首の後ろを指で刺激すると身じろぐ様子に、鉄の鉛が胃からせり上がってくる感覚がする。
あっつい。
行為や感情を言語化するのは人間だけなのに。
それでも時に人は、言葉で言い表せない、それ以上の感情を持つことがある。