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【東京喰種:re】カンツォニエーネ【夢小説】

第8章 偽装結婚


日曜日、指定された家に倉元と向かった。

一週間分の着替えを入れたカバンは重い。

住宅街が多いことで有名な駅から歩いて5分くらいの小さな一軒家だった。

被害の状況を見てか、上が家を用意してくれたなんて、随分大きなプレゼントだ。


隣は空き家だしここに丈さんは潜むのだろう。

チャイムを鳴らすと中から出てきたのは丈さん。

素早く中に入り込む。

ここが囮捜査に使われる部屋だ。

まだお昼時だから喰種が耳をそばだてている可能性は低いが少し小さめの声で会話する。

問題の寝室に入って位置関係を確認する。

蛇面はいつも窓からガラスを突き破って侵入しているから、それも考えたベッドの配置になっている。

丈さんたちは蛇面を追って同じところから入るし、蛇面の正面では私と倉元が待ち受けている。


「夜は勘づかれるような会話はしないように。」

丈さんはそれだけ言って倉元の肩をバンっと叩くと出て行った。

この家で、蛇面が釣れるまでずっと、私と倉元は同棲生活を始めることになった。

「明日からどうすんの?」
『出来るだけOLみたいな格好で…職場?行って普通にこの家に帰ってくる。』

一週間で釣り上げるのが目標だ。

「俺も家に車置いてきちゃったし一緒に行く?」
『そっか、えっと、一緒に行ったほうがいいね。』

朝も夜も一緒に帰って仲の良い新婚を演じる。

「つけてきてるって分かったらすぐその日に作戦決行する?」
『明日いきなり釣れてもやるんじゃない。だって明日から丈さんとかみんな張り込むんでしょ。』

そうだよなぁと倉元が頷く。

『…っていうか今から何する?』
「ご飯作らない?」

倉元が人差し指を立ててニコッと笑った。

「夢だったんだよね。こういうの。」

休みの日に二人で一緒にスーパーに行って買い物して、ご飯を作って食べる。

普通の幸せな家庭だ。

『私は自分が寝てる間にご飯作ってもらうのが夢だったんだけど。』
「それは手厳しい。」

倉元との疑似結婚生活が結婚願望への促進になるのだろうか、それともこれで満足してしまうのだろうか。

「そうだ大切なこと忘れてた。」
『ん?』
「はい、指輪。」

倉元がカバンから出してきたのはシンプルなリング。

『嘘でしょ?』
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