第6章 倉元とランチ
作戦を来週に控えた金曜日。
お昼に近くのワンコインランチを食べに行こうと立ち上がったところで、向かいのデスクの倉元に呼び止められた。
ついてくるらしい。
あと5分待ってと言われたので仕方なく座り直すと丈さんが戻ってきた。
「ユウ、実はクインクス班の米林がアダルトビデオから丁度良さそうな情事の声を取り出してくれている。声のトーンを、」
『ちょ、ちょ、ちょ!』
思わず大きな声を出す。
『な、何言ってるんデスカ!』
「すまない、囮捜査の話だ。」
「タケさんの口からアダルトビデオ…。」
世も末だと言わんばかりの声が倉元の口から漏れる。
いいから早く仕事して。
『声のトーンを私に合わせるって?』
「ああそうだ。こんな仕事を米林に任せていいのかと考えたが実際彼女くらいしかいなかった。この仕事には乗り気だと聞いたからユウに確認を取らずに委ねてしまったが。」
さすが才子ちゃんだなぁ。
『いえ、ありがとうございます。才子ちゃんセレクトなら安心できます。』
実はバカみたいに喘いでるのを流されたら演技のしようがないなと考えていたし。
あんな風に喘ぐわけないっての。
『今夜シャトーにいけばいいのかな。』
「ああ、頼む。」
最近頻繁にシャトーに行ってるな。
才子ちゃんに何か手土産を買って行こう。
「おけおけ。終わったよ。」
倉元が立ち上がった。