第2章 平和の都へ
藤姫は目を見開いた。
部屋に入ってくるのは男の人だと思っていたら、自分より少し年上の優しそうな少女と、こちらも優しそうな青年だった。
沙霧と風早も相反する反応をする。
「(……み、見えない)」
沙霧は部屋に入れば、相手がどんな人かわかると思ったから少しガッカリする。
それに対し、風早は少し複雑な心境をしていた。
「(……この少女が、今代の星の一族……)」
この部屋に近づくにつれ、星の一族が持つ独特の神気を感じていた。
柊にも感じた力を……。
(彼女の力は強いな……。しかし、他に星の一族の力は感じない…)
見てはいないけれど確かに感じる。
星の一族の力は他には感じない。
恐らく彼女が、この時空(とき)の星の一族の当主…。
「…この方々が、そうなのですか?頼久」
「はい。2人とも、こちらに」
なんとか表情を改めた藤姫が聞くと、藤姫の御簾から少し離れた所へと座るように頼久に言われ、沙霧は風早を見てから正座する。
風早は沙霧の一歩後ろに正座した。
「この方々が、あの部屋にいたのですか?」
「はい。藤姫様から離れ、部屋へと行くとこの2人が居りました。
暗がりでよく見えず、突然現れたような…妙な感じでしたので、鬼と思い斬りかかったところ…この少女が飛び出してきまして…」
頼久は淡々と説明していく。
それを藤姫は時折、「まぁ……」と驚いたように相槌をする。
(お姫様なんだ……。この御簾の向こうにいる人。声が高いけど、どんな人だろ?)
少しして頼久の説明がようやく終わり、藤姫の「あの……」という何回かの呼びかけにハッとして顔を上げる。