第2章 平和の都へ
「まさか、鬼に心配されるとは思いませんでした」
「……あの、さっきから疑問に思ってたんですけど、鬼ってなんなんですか?」
「は?」
頼久が苦笑気味に言えば、可愛らしく沙霧は首を傾げる。
まさに鳩の豆鉄砲とは、このことか。
鬼とはなんなのか、同じように気になっていた風早だが、頼久の呆気にとられた顔に思わず吹き出した。
「笑うなっ!」
「…っはは…。いや、すまない……はははっ」
「?」
ハッとした頼久が赤くなりながら、風早に怒鳴る。
風早は右手で口をおおい謝るが、ツボにはまったのか笑いがとまらず肩を揺らす。
「風早、だめだよ。笑っちゃ」
「ははは……すみません。沙霧」
少し滲み出た涙を人差し指で拭い、風早は苦笑した。
沙霧は頼久を見上げる。
「ごめんなさい」
「あなたが謝る必要はありません。…あの、あなた方は鬼ではないのですか?」
「はい。鬼ってなんなんですか?」
「………(どういうことだ?鬼ではない?しかも鬼を知らないだと?……何者だ?)」
スッと青い瞳を細め、沙霧の服と風早の服を見る。
どちらも見たことがない服だ。
特に沙霧の方は、不思議な格好をしている。
敵か、味方か。
見定めようと頼久は質問に応える。
「…鬼というのは、金色の髪に碧(あお)い瞳をしている者です。美しい容姿をしていて、不思議な術を使うと聞いています」
「それが…鬼?外人みたい…。でも、不思議な術って?」
黙って聞いていた風早が2人に歩み寄る。
「鬼道とは違うとは思いますが、陰陽術か何かかい?」