第1章 bitterな現実→チャンス到来!?
下野紘·····。
聞いたことがある。
実は、わたし、あまり声優さんを知らないんです。
名前とか声は、あー聞いたことあるー。みたいな感じで、顔と名前と声を一致させることが出来ない。
まもさんを除いて。
だから、確かに、この声と名前は聞いたことがある。
そういうのに疎いわたしが知っているぐらいだから、よほど有名なんだと思う。
でも、だからって、どうしてこの人も一緒に····?
そこで、電話で告げられたことを思い出す。
確か、仕事のオファーがきたの!とかなんとか言っていた。
ってことは、つまり····わたしは彼と共演するってこと?
この予想は見事に的中した。
社長室に緊張しながら入る。
『し、失礼しますっ!』
「そんなに緊張しなくていいのよ」
社長の隣に立つ綺麗な女性が微笑んで、わたしを見る。
綺麗なひと·····。
思わず、見とれてしまった。
「彼女には君のマネージャーになってもらう」
今まで黙っていた社長が急にそんなことを言い出した。
「藍条美咲よ。よろしくね、律華ちゃん」
こんな美人マネを頂いてもいいんですか、社長っ!?