第1章 bitterな現実→チャンス到来!?
わたしの住んでいるところから会社まで徒歩10分。
わたしはそれを走って4分で間に合わせた。
昔から、体力には自信があったから。
受付を通って、急いで社長室に行く。
エレベーターを閉めようとしたとき、何やら声が聞こえた。
「待ってー!俺も乗るーっ!」
その人がものすごい勢いでエレベーターに飛び込む。
「ごめん、ありがとうね」
『い、いえ。何階ですか?』
「社長室·····って、君も?」
わたしが事前に押していた階のボタンを見てそう聞いてきた。
『あ、はい。呼び出されまして····』
「え?あ、君もなんだ?」
君も?
じゃあ、この人も呼び出されたってこと?
「君、見ない顔だね」
『えっ!?あー、えっと、あ、あまり会社には来ない派の人間でして!』
「来ない派の人間?」
うああ、焦りすぎて変なこと言っちゃったよぉ····。
そこで、は、と思う。
『もしかして、声優····の方ですか?』
わたしがそう聞くと彼は明るい笑顔で答えてくれた。
「そうだよ。俺は、下野紘。ここの声優やってるんだ」