第9章 真央霊術院2
「おい、華!そんなとこで何やってんだ?」
私がしばらくさっきの死神の去っていた方を見ていると、後ろから声が掛かった。
『あ、阿近!今日は護廷十三隊の隊長と副隊長が来てるんだって!知ってた?』
「この間、担任が言ってただろ…」
阿近は少し呆れ気味に言った。
『そうだっけ?』
「華は担任の話いっつも聞いてねーからだろ。それより、次うちのクラスを見に来るらしいから早めに演習場に集まれってさ」
『各クラス見て回るんだー。大変だねぇ』
私は夜一さん以外の隊長格を見るのが初めてだったので、早足で演習場に向かった。
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「生徒の諸君!今日は護廷十三隊の五番隊隊長と副隊長であるお2人が伝統ある我が校の視察に来てくださっている!!今日は、先日習った破道の演習をするが、皆心して当たるように!」
担任がいつもよりも緊張した声色で高らかに告げる。
私はそんな担任を横目に見ながら、視線は五番隊長をこっそり観察していた。
『(やっぱり、隊長をやってるだけあって、そんじょそこらの死神とは感じる霊圧の桁が違うなぁ…)』
授業内容に関する説明をぼけーっと聞いていた隊長と一瞬だけ目が合ってしまい、慌てて逸らした。
『(あ、危ない危ない…隊長なんかに目をつけられたら、私の霊術院を目立たず卒業しよう計画が台無しだ)』
授業に集中しよう。
その時の私は、自分を見つめる一つの視線に全く気づかなかった。