第9章 真央霊術院2
『あの…何かあったんですか?』
校舎の入口付近に出来た人だかりに近づき声をかける。
「ん?あぁ、何かよくわかんねーんだけど、特進クラスの生徒が護廷十三隊に引き抜かれたらしいぜ!」
「しかも、まだ一年らしいじゃん!?やばくね!?」
興奮気味にそう言ってその二人は、また人混みの中に戻っていった。
「まさかとは思ったが…」
『ほんと、まさかよね……』
「特進にそんな優秀なやつがいたとは知らなかった」
『そんなこと言って…他のクラスの人どころか、同じクラスの人の名前も覚えてないくせに…』
「ん?そうだったけか?」
『はぁ…それより、こんな所で野次馬してたって何がある訳でもないんだし、教室に戻りましょ』
「それもそうだな〜」
そういって、私たちは人混みを避けて教室まで戻った。
どこか拭いきれない不安に見なかった振りをして。
「みんな例の騒ぎに野次馬しに行ってるから、どこもがらんとしてるな」
『こっちの方が静かでいいわ』
歩きながら会話をする。
「いつもこれくらい静かなら、発明にも集中できんのにな」
『よく言うわ。いっつも、どれだけ大きな声で話しかけたって気づかないくせに…』
「…………」
私の台詞に阿近は少しバツが悪そうな顔をした。
他愛もない会話をしながら、教室まで伸びる廊下を歩いていたとき。
『なんの音…?』
バタバタと何かが廊下を走っているような音がする。
その音はだんだんとこちらに近づいてきたかと思うと、私たちのすぐ目の前の曲がり角を曲がって現れた。
「やっーと、見つけた!!」
『…………蘭?!』