第8章 真央霊術院
──翌日
「えー、霊には整(プラス)と呼ばれるものと、虚(ホロウ)と呼ばれるものがあり──」
次の日からは普通の授業が始まり、私は初歩の初歩から死神の事をまた学び直すことになった。
『(それにしても、予想以上に簡単かも……)』
余裕があると意識は別の方向へ向くもので、私の視線は知らず昨日の男の子の方へと動いていた。
『(…あ、また何かやってる。授業も聞かずに)』
一度気になり出すと、どうしても気になるのが人間の性。
結局、その授業はぼーっとしてる間に終わってしまった。
「次の授業では、今習った破道の演習を行う!各自、演習場に集まっておくように」
『(はっ!いつの間にか授業終わってた!!)』
慌てて次の演習でやる破道の確認をしていると、後ろから控えめな声が掛かった。
「あ、あの……水無瀬さん」
『えっ、と……城之内さん?』
声を掛けてきたのは同じクラスの城之内桜という女子で、いかにも貴族の箱入り娘といった雰囲気の子だ。
「そ、そう!名前覚えててくれたんだね!」
名前を覚えられていたのがよっぽど嬉しかったらしく、彼女は顔を綻ばせた。
「あのね、次の授業の場所まで一緒に行かないかな…って!私、水無瀬さんとぜひお友達になりたくて!」
『もちろん、いいよ』
もともと友達作りをするために来たわけではないが、勇気を出して声をかけてくれたであろう彼女の思いを無下にするわけにもいかず、私は笑ってそう答えた。
「よ、よかった……!!」
その城之内さんと一緒に教室を出ようとした時だった。
「ちょっと待ちなよ」
いきなり目の前に2人の男が立ちはだかった。