第7章 更木の剣八
「行くぜぇ!!」
「こっちこそ!破道の三十一、赤火ほ『そこまでよ』
私はそう告げると、再び戦いを始めようとした2人の間に入り、蘭の手から発せられようとしていた赤火砲を反鬼相殺で消し去ると、斬りかかってきていた更木さんの剣を自分の斬魄刀で受け止めた。
『2人ともそこまでです。更木さん、剣を引いてくだい。蘭もカッとなりすぎよ』
いきなり間に入ってきた私に2人は暫く何が起こったのか分からないみたいな顔をしてポカンとしていたが、先に我に返った更木さんが吠えた。
「なんだいきなり!邪魔すんじゃねぇ!!」
『これ以上やると2人の霊圧に惹かれて虚が集まってきてしまいます 』
「それがどうした!虚が集まってきたらその虚を斬ってから戦えばいいだ…『私たち!』
「…あ?」
『私たち、死神になるんです。だから、もう一度蘭と戦いたかったら、あなたも死神になっては?』
「…死神、だと?」
『えぇ、まあ死神統学院である真央霊術院を卒業して死神になるまでですからすぐにとはいきませんけど、そっちの方が思う存分戦えると思いませんか?』
「ちょっ、ちょっと姉さん!」
私たちの会話が蘭と更木さんの再戦の方向に進んでいるのに、蘭が口を挟む。
『いいじゃない。どうです?更木さん』
「俺は、そんな先の話より今この瞬間の戦いで楽しむ方が重要なんだがなぁ…」
そう言って全く引こうとしない更木さんに私は、かなり強めの霊圧を更木さんにだけ充てて言った。
『まぁまぁ、ここは引いてくださいますよね?』
「……っ!!!!」
私の霊圧に充てられた更木さんは驚いたように目を丸くしていた。
「チッ……いいだろう、ここは大人しく引いてやる。てめぇに興味が湧いた。次会うときはそっちの小娘の方じゃなく、てめぇと戦ってみてぇもんだな」
更木さんはそう言い残すと私たちに背中を向けて去っていった。
『…ふふっ、考えておきますね』
私の言葉が聞こえていたのかいなかったのか、更木さんはひらりと手を振った。