第2章 はじまり
一日の鍛錬を終えて帰路につく。
今日の夜ご飯は何かといった他愛ないことを考えながらしっかりとした足どりで歩いていく。
しかし、だんだんと居住区に近づいていくにつれて様子がおかしいことに気づく。
いつもは賑やかな流魂街に人が誰一人いないのだ。
さらに、注意して見ると、建ち並ぶ家々も所々屋根が剥がれたり、酷いところは半壊している。
『……おかしい』
キョロキョロと辺りを見回しながらも自然と歩調は速まっていく。
『すごく、嫌な感じがする…』
呟いた瞬間にはもう走り出していた。
ハァ ハァ
-父さんと母さんを頼んだぞ
あの時の兄の言葉が脳裏に浮かぶ
街の中心へ行けば行くほど崩壊が酷くなっている
華の家は流魂街の中心部にある
まだ幼い華の胸に不安が募っていく
『お父さん、お母さん、無事でいてっ……』
その時だった
「うっ………た、助けて…」
がれきの中からかすかな呻き声が聞こえる
一刻も早く家族の元へと思っていたはずの華の足が止まる
助けを求める声を聞いてしまった以上見て見ぬ振りはできない
慌ててがれきの中から声の主を探すと、がれきの中から小さな手が見える
それを持って一気に引っ張り上げるとボロボロの小さな女の子が姿を現した
どうやら足を骨折しているらしく他にも至るところをけがしている
『いったい何があったのっ』
「お、お姉ちゃんは?」
少女は酷く怯えた様子で私を見てくる
『もう、大丈夫。私はあなたを助けに来たの。落ち着いて、何があったか教えてくれる?』
できるだけ怖がらせないように落ち着いた声を意識して喋る
「へ、変なおっきいお化けがっ!」
『お化け…?』
(もしかして、虚?!)