第7章 更木の剣八
私たちのやり取りに何かを悟ったのか、長髪の男はフッと笑った。
「僕は綾瀬川弓親。あっちの坊主頭は斑目一角。よろしくね」
『……!私は水無瀬華。この子は五十嵐蘭、妹なの。こちらこそよろしくね!』
「さっきは悪かったね、でも一角はあんなだけどいい奴なんだ。許してやってくれないかい?」
『ふふっ……あなた達を見てたら分かるわ。それに、あんなの気にしてないから大丈夫よ!それより、弓親って呼んでいい?仲良くなるには呼び方から変えるのがいちばんでしょ』
私が悪戯っぽく笑うと、弓親も少し驚いた顔をしたあと笑った。
「ありがとう。じゃあ僕も華って呼ばせて貰おうかな」
私たちがのほほんと会話をしている間にも戦いは熾烈を極めていた。
激しい打ち合いをしているが、どう見ても坊主頭の方が押されているように感じる。
本人もそれが分かっているのか、一旦間合いをとった。
「初めてだぜ……」
「あぁ?」
「ここに来てこんなに楽しいのはよぉ!」
「そりゃ良かった」
短い会話の後、またすぐに打ち合いが始まる。
二人の戦いを見て弓親がゴクッと喉を鳴らした。
「なんだこれは……まったく太刀筋が読めない」
『……型がめちゃくちゃなのに強い』
「剣ちゃん笑ってる!」
「……っ?!」
さっきの少女が戦いを見ながら言うと、隣に来ていたのに気づいていなかった弓親が少し驚く。
「でも残念…もうすぐ終わっちゃう」
「なっ…?」
『……』