第7章 更木の剣八
「何のつもりだぁ?」
私が刀を止めたのが気に入らなかったらしく、文句を言いながらも更に力を込めてくる。
『余計なお世話かもしれないけど、小さい子に手を挙げるのは感心しないわね』
私たちが睨み合いながら鍔迫り合いをしている時だった。
「待てよ…」
背後からゆらっと立ち上がる気配がする。
「ソイツには手を出すな」
そう言うと、立ち上がった男は被っていた布を一気に取り去り霊圧をドンと上げた。
「……っ?!」
その男の霊圧に、さっきまで威勢の良かった男の表情が変わる。
私はもう大丈夫だろうと刀を退いて、脂汗をかきながら固まる男の横でその霊圧の主を向いた。
「逃げねぇのか?」
その霊圧の主をがそう言うと、相変わらず汗をかきながら男はにやりと笑い、跳び退(すさ)って間合いを取り、
「へっ…生憎だったなぁ!機嫌がいいのは俺も同じなんでなぁ!」
そう言うと刀を構えた。
すると、それを見た男は少し考えて私たちの方を見た。
「テメェらはいいのか?」
『あっ、私たちはあの人の後でいいので』
私がそう言うと、男はゆっくりと刀を構える男に近づいて行った。
お互いが刀を構える。
すると、いつの間に追いついていたのか長髪の男の方が声を掛けた。
「……一角」
声を掛けられた一角という男は長髪の男を見もせずに言った。
「加勢はなしだ」
そう言われた長髪の男は静かに頷いた。
「分かってる」
両者の間に沈黙が流れる。
「あんた、強ぇようだな」
「あぁ…」
「俺も強ぇぜ!」
「そりゃあ楽しみだ」
そんなやり取りの後、戦いは突然始まった。
私たちは観戦のため、連れの長髪の男の横に立つ。
「君たちは良かったのかい?あの男に用があったんだろ?」
戦いを見ながらそう問うてくる長髪の男。
『いいんです、彼の後で。そっちの方が都合がいいし…蘭、しっかり見ておきなさい』
「…うん」