第7章 更木の剣八
そんなやり取りをしていた時だった。
ふと気付くと、何やら周りが騒がしいのに気付く。
「…何かあったのかな?」
『さぁ…そんな事より早く探さなきゃ日が暮れちゃう』
私がそう言うと、蘭の顔が引き攣る。
「うっ…ほんとにやるの〜?」
『当たり前でしょ!さぁ、行くわよ!』
そんな彼女等が向かう先に、辺り一帯がざわついている原因である二人の男がいた。
「……チッ」
刀を肩にかけながら歩く男を見て、流魂街の住人が何やらヒソヒソと話をする。
そんな様子を見て一人の男が声を掛けた。
「またかい、一角?その内、ここじゃあ相手がいなくなるよ」
「なら隣の地区に行くまでだ」
一角と呼ばれたその男は不機嫌そうに言う。
「フッ……顔拭けば?美しくないよ」
ごしごしと服の袖で顔を拭きながら一角が叫んだ。
「強い奴はいねぇか!!?俺は戦いてぇ!死にたい奴の一人や二人いねぇのか!?」
辺り一帯に響くくらいの大声で叫んでみても、巷では強過ぎると評判の一角に立ち向かっていこうなどと考える阿呆はいない。
「……チッ」
更に不機嫌さを顕にする一角とそれを見やる影が二つ。
『「…………………何あれ」』
そう、お察しの通り、華と蘭である。
二人が一角の事を訝しげな目で見ていると
『……あっ、目合っちゃった』
しまった、ああいう手合いは絡まれると厄介なんだよなぁ…
「あぁ?なんだテメェら、文句でもあんのか?!心配しなくても、てめぇらみたいな如何にも弱っちそうな餓鬼には興味ねぇよ」
いきなり絡んできたかと思えば…餓鬼?弱っちそう?
そもそも文句も何も言ってないわよ!
「どうする?姉さん。やっちゃう?殺っちゃう?」
どうやら蘭も今の発言に苛立ちが隠せないらしい。
『こら、そんな物騒なこと言わないの』
その時、どこからか幼女の笑い声が聞こえた。