第7章 更木の剣八
何より一番変わったのは、私と蘭の関係だ。
10年も一緒にいたのだ、流石に関係が進展しない方がおかしいだろう。
一緒に暮らし始めた当初はまだ微妙に他人行儀だった私たちだったが、今では本当の姉妹以上に深い絆で結ばれている。
蘭も大きくなって、「お姉ちゃん」呼びから…
「姉さんったら!!もう!聞いてるの?!」
『聞いてる聞いてる〜
まあ、結論を言うと、この妹がとにかく可愛い過ぎるということ。
それはもう目に入れても痛くないくらいには。
で、どこに行くか…だったね?実は、ある人を探しています!』
「ある人…?」
蘭がきょとんとした顔になる。
『蘭も強くなったでしょ?いつまでも私との練習ばかりだと剣術が偏っちゃうし…だから、卒業試験をしようと思って!』
「…え、ちょっ、ちょっと待ってよ!卒業試験なんて私、まだ姉さんに教わりたいことたくさんあるし、それに、姉さんにはまだまだ敵わないし…」
卒業試験の一言に蘭がひどく取り乱す。
『もう…もっと自分の力を信じなさいっ!!それに、これはもう決定事項です!これからその相手に会いに行くんだから』
「相手…って?」
『更木出身の人で、死神でもないのにとてつもなく強い人がいるらしいのよ。で、その人がこの間から更木に戻ってるって聞いてね。だから会いに行こうと思って』
私が声を弾ませて言うと、蘭の顔がサーッと青ざめていく。
「ま…まさか……」
『そう!その人に勝負を挑んで、その成績をもって卒業試験の内容にしようと思います!』
「う、嘘ぉぉぉーーーーーーー!!!!」
更木の街中に聞こえる程の蘭の絶叫が響き渡った。