第6章 訃報
泣いて泣いて、とにかく泣いた。
どれくらい泣いていたかは分からないけど、その間中ずっと麒麟は私を抱きしめていてくれた。
《そろそろ落ち着いた?》
そういって私を覗き込んでくる麒麟。
『もう大丈夫だから…』
さんざん泣き腫らした顔を見られるのは癪だったのでふいと顔を背けてみるも、麒麟の両手が頬を包み込んだかと思うとぐいっと顔を向けられてしまった。
《ふふっ、泣き顔も可愛いから大丈夫だよ》
『大丈夫の意味がわからないんだけど…』
というか、何気に心を読まれてるのがちょっと腹立たしい。
《さてと…そろそろ出てきてもいいよ〜》
麒麟が立ち上がって私の後ろの方に声を掛けると、彼らはゾロゾロと姿を表した。
《もういいのか?!》
まずぴょこっと顔を見せたのは朱雀。
《あっ、ちょっと朱雀さん!》
続いて、それを追いかける青龍。
《カッカッカッ!》
相変わらず豪快な笑い声をあげる玄武。
《……っ》
玄武の大きな体に隠れながら出てくる白虎。
『えっ?…えぇっ!!?』
いきなり姿を表した4人に、状況についていけず間抜けな声を出す私。
《あっ、別に覗き見してたとかじゃないからね!本当にさっきまでは僕だけだったから!華が落ち着いたから出てきてもらっただけだから!》
『わ、分かった!分かったから!!』
肩を揺さぶってくる麒麟の肩を手で押し退けながら叫ぶ。
《みんな華のことを心配してたんだよ》
柔らかい顔で微笑む麒麟。
《 よぉ、華!アタシが炎熱系の斬魄刀って分かっててあんな土砂降りの雨降らしやがったのか?!》
ずいっと顔を近づけてそう言った朱雀の目はどう見ても怒っているようには見えなくて、ああ、心配してくれてたんだなと心が暖かくなった。
『ごめんね朱雀、心配してくれてありがとう』