• テキストサイズ

【BLEACH】チカラ

第6章 訃報



《だって…ずっと泣いてるじゃない》



ピクッと身体が反応する。



『泣いてない……』



そう、だって私はあれから一度も泣いてない。



《華の心が泣いてるんだ》



『だからッ…泣いてないって!!』



思わず声を荒げてしまった私。



『私は…私は強くならなきゃいけないの』



強くなって兄に認めて欲しい、それが私の願い。



兄がいなくても、認めてくれる人がいなくたって強くなるんだ。



『悲しくなんかない…』



絞り出した声は私が思っていたよりか細かった。



《悲しまないことは強さじゃない。たしかに、強くなることは華にとってはとても大切なことかもしれない…けどね、正直な華の弱さを隠すためだけにある強さなら……そんな強さはいらない。もっと自分の心に正直になって。僕はね、華の弱い所もひっくるめて華のこと全部知りたいんだ》



麒麟の言葉が私を優しく包み込む。



『やめて……』



私を甘やかさないで。



じゃないと…



《泣いていいんだよ…》



じゃないと…



《大丈夫…ここには僕しかいないから》



ポロッ



『う…うわあああああん』



せっかくの決意が崩れちゃうから。



麒麟の言葉に、私は堰を切ったように泣き出した。



そんな私を麒麟はギュッと優しく抱きしめて、ポンポンと子どもをあやすみたいに背中をたたいてくれた。



『お兄ちゃんッ…お兄ちゃんッッ』



それから私は、ずいぶん長い間うわ言のように兄を呼びながら泣いた。


/ 75ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp