第5章 隠密機動
顔の前に扇をスッと構えて浦原さんに向き直る
浦原さんはそんな私を見つめながらゆっくりとその斬魄刀を抜いた
『…やっと抜いてくれましたね』
「本当に…私に斬魄刀を抜かせるとは、貴女はお強い」
ピリピリとした空気が私たちを包む
先に動いたのは浦原さんだった
私と浦原さんの武器が音を立ててぶつかる
純粋な腕力では男の人(しかも大人)には敵わないので、鍔迫り合いになる前に素早く距離をとる
「やりますねッ!」
しかし、浦原さんは続けざまに攻撃を仕掛けてくる
斬魄刀を解放した事により、霊力の消耗が激しい
早めに終わらせる為にも次の一手で確実に仕留めたい私はすぐさま作戦を行動に移した
『縛道のーーー』
霊力を集中させる
「縛道?!」
浦原さんは近づいて来ていたのを一旦やめた
が、「…(詠唱破棄と言うことはせいぜい二十番台程度の縛道でしょうか…避けるまでもない。力尽くで解いて一気に片をつける!)」
一瞬の思考の後、再び華に向かっていく浦原
しかし、その読みは外れた
『縛道の六十一『六杖光牢』!!』
私の放った鬼道は見事にに浦原さんを捉えた
「…ろっ、六十番台!?…クソっ」
予想外の強力な縛道に困惑する浦原さんだが、早く終わらせたい私としては落ち着くのを待ってなんかられない
『…雷鳴の馬車 糸車の間隙 光もて此を六に別つ!』
簡単には抜けられぬよう、詠唱破棄で弱まった威力を補うために後述詠唱しながら一瞬で距離を詰める
ピタッ 『試合終了…ですね!』
首の頸動脈の辺りで扇を寸止めすれば、辺りはしぃんと静まり返った