第5章 隠密機動
「では、わしが合図をしたら始めじゃ!」
夜一さんの言葉に頷いて、私と浦原さんは少しの距離を開けて向かい合った
しかし、いっこうに斬魄刀に手をかける様子を
見せない浦原さん
『あの…斬魄刀は使わないんですか?』
私のその言葉に、浦原さんは驚いた顔をしてから、困ったような顔をした
「いや〜…いくら虚を倒したとはいえ流石に子ども相手に斬魄刀は使えないッスよ」
完全に舐められてる
たしかに子どもってことは否定しないけど、
そこまで言われれば流石の私もムッとする
「あ、もちろん貴女はその刀使っていいスから。私に気を遣わずに!」
どうやら浦原さんと夜一さんは私の刀をタ̀ダ̀の刀だと思っているらしい
じゃないといくら子ども相手と言えども斬魄刀を使う相手と素手で戦うわけがない
こうなったら、意地でもぎゃふんと言わせてやる!
『分かりました!お気遣いありがとうございます!』
私は頭の中にある作戦を悟られないように
ニコリと笑って答えた
夜一さんが私たち二人と目を合わせて開始の意を伝える
「それでは…始めッ!!」
ザッ!!
夜一さんの合図とともに抜刀、地面を勢いよく蹴り間合いを詰める
手始めに真っ直ぐに切り込むが、これは躱される
ひらりも攻撃を躱した浦原さんのほうに向かって素早く体を回転させると二撃目を繰り出す
それも躱した浦原さんは、寸分の狂いなく私の急所に拳を叩き込もうとするが、ギリギリのところで瞬歩で躱した私は一旦間合いを取った
「す…すごい…こんなの始めて見た」
始めて人対人の戦いを見た蘭はただただあっけにとられていた
今まで戦ったことのある虚は全てが戦略という言葉とは程遠いところにいた謂わば雑魚の雑魚
戦術や作戦を駆使した戦いは見たことがなかっただろうから驚くのは仕方がない