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君に伝えたかったこと

第2章 神父


神は世界の見本となる者だ。
だから、完璧な存在で居なくてはならない。

カラマツは、そんな生活に退屈していた。

もっと刺激的な………人間見たいに、少しの事でも、笑っていられるようになりたい。
困った時は、神頼みをしてみたい。
歌を唄ってみたい。
働いて見たい。
欲しい物を探して見たい。

だけど、神はそれが出来ない。
昔聞いた事があるんだ。
堕ちたら堕天使になる。
だが、極稀に…人間になりたいと強く望む者は、堕天使にならず、更に深く堕ちて、人間になれると言う。

そんな、おとぎ話のようなモノ。
だけど、カラマツは、いつものように天界から下を覗く。

下には、何も見えない。
試しに、林檎を一つ、下に放り投げる。

林檎はほんの数秒間で肉眼では捉えきれなくなり、音沙汰も無くなった。

………やっぱり高い。
ここから落ちるなんて、オソマツ兄さんやトドマツはどういう神経をしているんだろう。

「あれ、兄さん。…いや、カラマツ様、何してるんですか?」

「あ、あぁイチマツか。いや、ただの考え方だ…え?」

風が吹く。
何故だ。天界に風など存在するはずないのに。

初めて肌に感じる風は、冷たく、気持ちよかった。

だが_____

風が吹けば力は身体に持っていかれるだろう。「イチマツ」が現れた瞬間、吹いた風が足を滑らせ、カラマツは地の底へ、林檎のように堕ちていった。
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