第10章 日常(AN)
眠くない、とは言っていたけど
それからすぐ、可愛らしい寝息が聞こえてきた。
「ふふ、寝てるし」
このままソファに寝かせるか
寝室まで運ぶか
しばらく悩んで、
起こさないように、
まず、握られた手をゆっくりと離し
お姫様抱っこをして
寝室のベッドの上に寝かせた。
男だけど
若干髭はえてるけど
俺にとっては、天使みたいにかわいい寝顔をみつめて
起こさないように、
ベッドから離れた。
リビングに戻り
テーブルの上を片付ける。
使ったグラスを洗ってると
「まぁくん…」
眠たそうな顔をしたかずが
やってきた。
あぁ、起こしちゃったかな。
「ん?
今、もうすぐ行くから、ベッドで待ってて」
今日のにのちゃんは
相当な甘えん坊らしくて
てくてくこっちに歩いてきて
洗い物をしている俺の
背中に寄りかかるようにくっついてきた。
洗い物を終えて
背中のかずに話しかける
「ほら、行くよ」
「ん…」
手を繋いで、
寝室に行く。
そして手を繋いだまま
一緒にベッドに入る。
お互い、
向き合って寝転がる。
あと数センチ近づいたら
キスできるってくらい近くで
見つめ合う。
さっきまで和の手と繋いでいた
俺の右手は
かずの頭の下にあって腕枕をしてる。
左手で
和の前髪を優しくなでる。
「おやすみ」
と言って、目を閉じると、
和が触れるだけのキスをしてきた。
驚いて目を開けると
さっきよりも近い所に、和の顔があって
暗い中で、かすかに見える
潤んだ目と、かわいらしい唇に
俺からも触れるだけのキスをした。
唇を触れ合わせるだけの
キス。
だいぶ、長い時間
そうしていた。
お互いに
ゆっくりと唇を離し
おでことおでこをくっつける。
「まぁくん、だいすき」
「俺も、和のことだいすき。」
幸せだな
って、思いながら眠りにつく。
そんな毎日。