第58章 嫉妬(AN)
家に帰って
すぐに
ゲームの電源を入れた。
はぁ。
収録が終わったあとも
楽屋で仲良く喋ってたから
皆よりも早く帰路についた。
__
日付を跨いで
少し経った。
ビール片手に
録り溜めた録画番組を消費してたら
スマホの液晶に
相葉さんからの着信を知らせる画面が映った。
反射的に手に取って
だけど、すぐにスマホをテーブルの上に戻す。
画面が切り替わり
ロック画面に
"着信1件"と表示された。
すると、画面が消える前に
メッセージの通知。
『電話出てよ』
『おーい』
『にのー』
『見てるでしょこれ』
『今からもう1回電話かけるから
次は出ろよ』
1秒間隔くらいで
通知がくる。
そして、画面が再び着信を知らせるそれに切り替わった。
「…はい」
『今から行っていい?』
「…」
『分かった、じゃあお前がうち来て。じゃあね』
__
こんなに、一方的に言われたのに
黙々と家を出る準備をする自分がいる。
相葉さんに会いたいから?
別にそういう訳じゃ。
まだ寝ようとも思ってなかったし
明日そんな早くないし
丁度、ビールが空になったとこで
もう少し飲みたいなって思ってたし
ただ、
もし
アイツがいたらどうしよう。
いや、別に居ていいのよ全然。
うん。
…やっぱり、行くのやめよ
__
"行かない"
にのからそうLINEが来たのは
俺が電話してから15分後くらい。
ああ、ほんと
めんどくせぇな。
__
もう、寝よっかな、やっぱ。
考えてみたら
今日1日収録で、疲れてるし
明日もあるし
一度履いた靴下を脱ぎ捨て
寝室に向かう。
…はぁ
すると、突然インターホンが鳴った。
こんな時間に誰だよ
…誰だかはほぼ見当ついてるけど。
モニターに映った相葉さんを見て、
こんな時でも、かっこいいなと思う自分がいる。
「…なに」
『なに、じゃねぇよ』
「…」
『とりあえず、開けて』
仕方なく
ロックを解除した。