第6章 だから俺だけをずっと (R18:及川徹)
ああ、私はどうしたら。
どうしたら彼らに伝えられるのだろう。ありがとう。そんなちっぽけな言葉じゃ語りつくせない。
頬をおりていく涙。
温かいそれがドレスに落ちて、私の胸をじわりと暖かくする。
あったかい。
愛って、あったかいね。
「……っみんな、ありがとう」
結局、私はそう言うのが精一杯だった。ありがとう。ちっぽけだけど、それしか言葉が見つからないのだ。
優しくしてくれてありがとう。
叱ってくれてありがとう。
一緒にいてくれて、一緒に生きてくれて、ありがとう。そして何より──
こんな私を、愛してくれて。
「──ありがとう」
鼻声でほとんどグズグズになってしまった感謝のきもち。
それを聞いたみんなは口々に「どういたしまして」と言いながら、ズズ、と鼻をすする。
「おやおや? 京治、泣いてる?」
「黒尾さんも涙目じゃないスか」
「……っ良、……ハッ……!」
「……光太郎が良かったね、だってさ」
「ハッピーエンド、とも言ってますね」
みんな泣いてるのに。
みんなで笑ってる。
徹くんは言葉も発せないくらい号泣してて、岩泉さんとおんなじ顔で下唇を噛みしめていた。
なんて、なんて幸せなのだろう。
私、──生まれてきてよかった。
こころからそう思える。
みんなのおかげ、だね。