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(R18) 行かないで青春 (HQ)

第1章  キミは宇宙の音がする (R18:灰羽リエーフ)



 *


 あれから九ヶ月と、八日。

 リエーフは毎日欠かさずに音楽室を見上げてくれた。時には直接ここを訪れて、私のピアノに耳を澄ましていた。

 とても、美しい音だと言ってくれた。


『キレーな音っすね』

『まるで、絢香さんみたいだ』


 夕暮れの音楽室。
 茜色に染まる空。

 私と、彼の、忘れじの思い出。

 しかし今日、私が告げた【事実】によってこれまでの平穏は崩れ去り、心地よかったはずの世界は灰色に塗り替えられてしまう。



「私ね、……留学するの」



 いまだ冬を引きずる三月上旬。
 式典練習を終えた後の出来事。

 私を含む三年生が卒業式を間近に控えた、ある寒い日のことだった。

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