第5章 吐息を華に、恨みを添えて (R18:澤村大地)
「や、あっ……そんな、搔きまわさな、で……っんん……!」
一本、二本と増やされた指が前後する。なかの壁をなぞるようにして円を描く。
ぐちゅ ぬちゅり
その水音は聞くに堪えない。
「……っ! ゃ、ああっ」
グ、と内壁上部を押されて駆けめぐる痺れ。一番柔くていいところを、これでもかと執拗に攻められる。
「やっ、だめ、大地さんっ」
「もっとして、って聞こえるぞ」
「! ……っ意地悪」
拗ねたように声を落とした私に、彼は口付けを。これほどなく深いキスと同時に、硬い彼自身が蜜口に押しあてられる。
ぬぷ、と侵入される感覚。
その甘美な異物感にノドが震え、自分のそれとは思いたくない喘ぎが漏れた。
「ひ、っあ、ゃああっ……!」
「……挿れただけで、それか」
あ、また。
ものすごく面白い悪戯を考えついたような、少年の顔。大地さんは、一体いくつの顔を持っているのだろう。
上司としての、凛とした顔。
同僚に見せる、くだけた顔。
お年寄りを助けた優しい顔も知ってる。仕事に悩む難しい顔も知ってる。ひどく傷ついたのも。すごく怒ってるのも。
でも、やっぱりこれが好き。
「動くぞ?」
欲に濡れた、男の顔。
私の、私だけの、大地さん。