第4章 愛すべき泥濘で口付けを (R18:黒尾鉄朗)
視線が、絡みあう。
私の目に訝しげな色が浮かんだのを知って、彼は即座に張りつめた自身を引き抜いた。
何かを誤魔化すかのように。
何かを隠すかのように。
まるで私に見られたくないとばかりに、体勢を変える。
「ぁ、……っや、くろ、お」
四つん這いにさせられた私。
大きく開くように固定された脚の中心に、彼の膨れた先端が当てがわれた。
ぐ、と躊躇なく貫かれる。
「いっ……ぁ、あああっ……!」
一気に深いところまで突かれて、刺すような痛みが下肢に走った。痛くて、辛くて、熱い。引き裂かれるような痛み。
しかしどれだけ願おうとも、この痛みから解放されることはない。無慈悲なその出入が、回を増すごとに、荒く激しくなっていく。
「ぁ、やっ……いやぁ……っ」
「…………」
「やめ、黒尾、……痛、──ッ!」
もう声にすらならない。
前後に揺さぶられる私の喉は焼けつき、渇ききった口内は鉄のような味がした。
助けて。誰か助けて。
そんな独りよがりな祈りは無論、だれにも通ずることなく消えていく。
「……っ、オイ、出すぞ」
「え、や、嘘……っやめて、」
「言ったろ、全部奪うって」
バニラの匂いがする部屋。
とある、ホテルの一室。
純白のシーツを何ともつかぬ液体で濡らして、私は、かつて友であったはずの白濁を呑みくだすのだった。