第4章 愛すべき泥濘で口付けを (R18:黒尾鉄朗)
軋む、ベッド。
お前が怯えたような顔をするから、俺はまた、どろりとした感情に苛まされる。どうして。何でそんな顔すんだよ。
「……絢香」
名前を呼んだら、愛しくて。
喉の奥が苦しくなる。目元が熱くなる。悔しい。悲しい。こんな顔させたいんじゃ、ないのに。
『黒尾ー聞いてー! 私ね、木兎くんに告られた! 今度ね、一緒に海行く約束したの!』
『……へえ、よかったじゃん』
『うん! すっごく嬉しい!』
木兎、俺はお前が羨ましい。
「 」
好きだ、だなんて、言えなかった。