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(R18) 行かないで青春 (HQ)

第20章 最愛(Moulin Rouge完結篇)




 chapter004
  【FLOWERWALL:holy war】



 嘘のような七日間だった。

 それは同時に奇跡にも等しくて、永遠にも感じられて。しかし時間はたしかに流れていく。移ろっていく。

 風に押されて流れる雲のようにゆったりと、だが着実に、私たちは終幕へと歩みを進めていた。


「──……いよいよ決行だ。お前ら、準備はいいか」


 京治さんの出所を数時間後に控えた今、ピンクオウルでは黒尾を中心とした最終確認が行われている。

 研磨が立案した作戦。
 京治さんと私を無事引き合わせて、海外に逃がすまでの。

 元来性的なサービスを提供することが目的の部屋に集結したるは、大柄な男性ばかり。

 要するに、なんていうか。


「及川てめっ、近寄んな気色悪い」
「狭いんだから仕方ないじゃん!」

「むっ!? どさくさに紛れてウチの店ディスってんじゃねえぞ及川コラ!」

「お前らまた喧嘩してんのかよ」
「ほっとけ花巻、構うだけ無駄」

「松川くんはオトナですねえ」


 むさくるしいのだ。
 ものすごく、むさくるしい。

 人口密集率が半端ないことになっているし、徹くんと光太郎がぎゃいぎゃい騒ぐもんだから余計に暑苦しい。

 決戦の日とも呼べる今日。
 人一倍神経を尖らせているのは、やはり警察関係者であるこの人で。



「っるせええ! 光太郎!徹! お前らそれ以上騒いだら廊下に立たせんぞボケタコ!」



 言ってることは公務員ぽいのに、顔はそこらへんにいる凶悪犯より怖い。昔も今も変わらない、正義のひと。

 黒尾鉄朗の姿がそこにはあった。

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