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(R18) 行かないで青春 (HQ)

第20章 最愛(Moulin Rouge完結篇)




 chapter003
  【NIGHTLY SUN:without u】



 岩泉一からの着信を受けたのは、降り続いた雨が止んだ夜明けのことだった。

 ようやく眠りについた町。
 静けさに満ちた朝の繁華街を抜けて【Bar trust】に向かった俺が、まず、最初に見たもの。

 それはカオスだった。



『あんなもん迷惑でしかねえだろ!』

『だって何かしたかったんだもん!』

『だからって週一で豆腐送るか普通! ご丁寧にオープン告知のチラシまで入れやがって! つーかどうやって俺の住所調べたんだテメエ!?』

『まあまあ、怒んなって岩泉』

『んな叫んでっと血管切れんぞー』



 朝っぱらから大声で痴話喧嘩を繰り広げていた岩泉一と及川徹。

 その隣でにやにやと野次を飛ばしているのは、花巻貴大と松川一静だった。

 バーカウンターに置かれたショットガン対決の残骸は山のよう。それと、信じられない数の空ボトル。

 アホほど飲んだらしい彼らは、しかし、まだ足りぬとばかりに真新しいグラスをその手に握っていた。

 本当に、アホだと思った。


『飲み過ぎだバカホスト共!』


 奴らの肝臓を心配した俺が一喝したことは言うまでもないのだが、唇を尖らせた及川が──『もうホストじゃないもーん』──と子供じみた口ごたえをしたこともまた、言うまでもない事実である。

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