第20章 最愛(Moulin Rouge完結篇)
「でも岩ちゃん、ひとつだけ確認」
「んあ? 何だよ」
「岩ちゃんは本当にそれでいいの?」
はたと、全員が動きを止めた。
聞くだけ野暮なのかもしれないけど、でも、やっぱり大事なことだから。俺はちゃんと彼の口から聞いておきたい。
さっきよりも重たい沈黙。
一秒、二秒、俯いたのち。
ス、と顔をあげて岩ちゃんは言った。
「誓ったんだよ、俺は、あの日。
──……カオリを幸せにするって」
「たとえその愛が岩ちゃんに向いていなくても? それでも岩ちゃんはあの子を助ける、本当にそれでいいんだね?」
「ああ、カオリが笑ってさえいりゃあ、俺はそれでいい」
「そっか、……うん、分かった」
絶望の先には何がある?
やっと分かったんだ。
探し続けていた答え。
それはね、ハッピーエンド。
ねえカオリちゃん。
お前はいいね、皆から愛されてて。
反吐が出るほど羨ましいよ。
でも、覚悟しな。
これからはこの及川さんがそこに加わってあげるんだから。もう逃げられない。絶対に逃がさないよ。
お前が歩むべき道はただひとつ。
ハッピーエンドへの、一本道。
そう決まってるんだ。
だって、俺たちが味方なんだから。
「よーし! じゃあもっかい乾杯!」
「及川の奢りだよなもちろん」
「ゴチんなりまーす」
「出前寿司頼もうぜ、寿司」
「んんん! でも許す!奢っちゃう!」
さあ、再開しようか。
太陽の国へと続く、物語を──
【(we can)trust】fin.
超絶信頼関係、復活☆