第20章 最愛(Moulin Rouge完結篇)
王者白鳥沢の没落。
引き裂かれた恋のお話。
会いにきてくれた彼。
過去にこの町で起こったこと。これから起ころうとしてること。岩ちゃんがここを訪れてくれた本当の意味。
分かるよ。ちゃんと見えてる。
助けるんだよね、彼女を、そして彼を。カオリちゃんとケージを絶望の淵から救い出すんでしょう?
答えなんて、決まってるじゃん。
「俺も協力する、したい、させて」
──それで、俺は何をすればいい?
まっすぐにそう問うた俺を。
傷だらけの、俺の背中を。
マッキーが。
松っつんが。
そして、岩ちゃんが。
代わる代わるに叩いて、どついて、おまけにのしかかってきて、床に倒れこんでもみくちゃになる。
「偉いぞ及川! よく言った!」
「俺ちょっと感動したわ」
「あれだな、元クソ川だな」
「岩ちゃんのそれは何なの? 褒めてるの?貶してるの? ていうか重いし苦しいし! 三人とも総重量いくつあると思、……っん、ぐう、ギブギブギブ!」
馬鹿みたいに騒いで。
馬鹿みたいに笑って。
まるで、あの頃みたいに。
少しずつ色んなことが変わったね。大人になった俺たち。どんどん新しくなっていく町の風景。
こうして、変わっていくのかな。
移ろって、終わっていくのかもしれないね。
でも、どんなに時間が経っても、この気持ちだけは変わらないよ。
俺、──皆のことが大好き。
これからもずっと一緒にいたい。
ずっとずっと、仲間でいたい。
ちょっと恥ずかしいけどね。