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(R18) 行かないで青春 (HQ)

第20章 最愛(Moulin Rouge完結篇)




「それで?」



 午前五時まであと少し。

 店外に出しっぱなしにしていた看板を片付けて、俺はおもむろにそう問うた。湿度の高い空気。熱された曇天。

 ドシャ降りの雨が、降っている。


「勘のいいお前なら大体分かんだろ」


 岩ちゃんが返した言葉。

 不安げな顔で何かを言おうとしたマッキーの背を、ばしりと叩いて松っつんが制す。

 俺の反応を待っている三人。
 ゆっくり、ゆっくりと、息を吸う。



「──……カオリちゃんのこと?」



 その名を出した、途端。

 マッキーが視線を右往左往させて狼狽え、松っつんが小さく嘆息した。張りつめた緊張の糸。岩ちゃんは俺を、じっと見据えたまま。

 永遠みたいな沈黙が降りる。

 誰も、何も言わなかった。言えないのだろう。無理もない。あんなことが、あったのだから。

 彼らが腰掛けるバーカウンター。
 そこに肩を並べて、考えを巡らせる。

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