第20章 最愛(Moulin Rouge完結篇)
絶望の先には何がある?
希望か、未来か。
はたまた幸せか。
ひとりそんなことを考えていた。
考えては諦め、諦めては嘆いた。
自分には希望も未来も、ましてや幸せなんて待っちゃいない。この世界にあるのは闇だ。誰もいない。彼がいない。常闇の国。
絶望のなかにいた。来る日も、来る日も、ずっとずっと自分の過ちを悔やんでいた。暗かった。怖かった。苦しかった。
──でも、もう平気。
「ごめ、岩ちゃ、……っ本当にごめんなざい! 俺、一番しちゃいけないこと、……ずっと、後悔して、本当に本当に、……ごめんなさい!」
涙で歪んだ視界の中心。
あの日より少しだけ髪の伸びた岩ちゃんが、仁王立ちで腕組みしたまま俺を見下ろしてる。
上等なダークスーツではなくて、ラフな普段着姿。一度も見たことなかったけど、案外オシャレなんだね。俺びっくり。
ああ、でも、そうだね。
あの子に選んでもらってるのかな。
「え、うぇ、マジで岩泉?」
「マジだわ、マジで岩泉じゃん」
「おー、貴大に一静じゃねえか」
「ちょちょ、ちょ、とりま座れ」
「だな、久々に乾杯すんべ」
ほらほら、この感じ。
知ってるよ。
及川さんよーく知ってる。
丸無視だもんね。俺が涙ぼろぼろ零してごめんなさいしてるのに、見向きもしないもんね。でも俺はしょげない。
だってこんなの慣れっこだもん。