第20章 最愛(Moulin Rouge完結篇)
ドガシャーンッ!
「へぶう……っ!」
扉がフッ飛んだ。
俺もフッ飛んだ。
轟音豪速そして盛大にブチ破られた木製のドア。去年オープンさせた俺のお店【Bar trust】の入口で。
お豆腐がぱつぱつに詰まったダンボールを抱えたままひっくりかえって、リアルにお星さまがくるくるして。
それから、見た景色。
「ったく生意気にいい店構えやがって」
「──……っ!!?」
「ドアはもっと頑丈に作っとけ、徹」
久しぶりだな、とか。
あん時はよくも、とか。
そんな挨拶なんてひとつもなしで。
相変わらずドアは足で蹴破るし、ぶっきらぼうだし、俺に対してだけ異常に冷たいひと。
岩ちゃんが、そこにいた。