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(R18) 行かないで青春 (HQ)

第20章 最愛(Moulin Rouge完結篇)



「及川! もう一杯!」
「俺もおかわりダブルで」

「んもー、マッキーも松っつんもいい加減帰ってよ! いま何時?もう四時! 営業とっくに終わってるんだからね!」

「んだよー、ケチー」
「ケチ川だなお前マジで」


 思うんだ。

 灰色も悪くないのかな、って。

 味気なくて、つまらなくて、どうしようもなく荒んでて。楽しいことなんか一個もない毎日。

 何度も死んじゃおうって思った。
 またひとりぼっちに戻るくらいなら、こんな世界捨てちゃえって。

 あの日、あの廃キャバレーで、どうして俺は死ねなかったのかなって憂いたこともある。

 けど、だけどね。

 こんな俺にもまだ仲間と呼んでくれるひとがいるし、こんな日々にも安らげる瞬間はあるんだ。少しずつだけど、学んでる。

 ひとの心、ってやつを。

 最近覚えたのはネコの可愛さ。あれはやばい。陽だまりのなかで微睡んでいる姿なんてただの天使だと思う。

 それにね、気づいたんだよ。

 歳を重ねて、新しい夜を迎えるたび、自分自身と向き合う時間が増えて。過去を振り返れるようになって。

 死は償いじゃない。
 ただの自分勝手なんだ。

 死んだらそこでおしまい。謝ることも、償うことも、何もできない。勝手に傷つけて、勝手に終わらせて、勝手に逃げるだなんて。それも永遠に。


 そんなの、最低だと思った。

 だから、生きようと思った。


 生きて、償って。

 俺がもっとまともな人間になったら、彼に見せても恥ずかしくない人生を歩めるようになったら、謝りに行こうって。

 そう、思ったんだ。

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