第20章 最愛(Moulin Rouge完結篇)
chapter002
【BLOODY BLUE:trust】
絶望の先には何がある?
ひとり、そんなことを考えていた。営業終了後の店内。洗いかけのカクテルグラス片手に、スマホの画面を見やる。
バーカウンターに立てかけた5.5インチのなかで、綺麗めの女子アナウンサーがとあるニュースを読みあげていた。
この子、もっと化粧薄いほうがいいのにね。ちょっと残念。
「今回の鷲匠氏逮捕を受けて、指定暴力団白鳥沢組は解体を余儀なくされました。しかしこれは実質上の解体に過ぎないと専門家は述べており、分散した勢力は──……」
陥落した王者。
まさに、絶望。
彼らは今何色の世界を見てるのかな。
ドブ川のように濁った色?
薄汚れた血飛沫の色?
別に、何色だっていいけどさ。
きっと俺の見てる色と大して変わらない。この世界はどこまでいっても灰色だ。味気なくて、つまらなくて。
でもね、最近思うことがある。