第20章 最愛(Moulin Rouge完結篇)
聞きたいことばかりだよ。
話したいことが、囁きたい言葉が、消しても消しても暗闇に浮かんでくる。
いま君は、何をしていますか。
ちゃんと、笑えていますか。
──……幸せ、ですか。
小さな小さな窓から、すらりと一筋の光。どうやら日が昇るらしい。
夜が、終わるのだ。
君を想い迎える朝。
あれから何度こうして迎えただろう。
あと何度、こうして迎えるのだろう。
俺は、願う。
たったひとつの願いを。
来る日も、来る日も。
どうか、どうか、君が幸せでありますように。心から。
朝陽すら冷たい檻の中。
再度墜ちた絶望の淵。
目に映る全てが鉛色の、この世界の片隅より、──愛を込めて。