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(R18) 行かないで青春 (HQ)

第20章 最愛(Moulin Rouge完結篇)



 何度、涙を落としただろう。
 幾度、絶望に打ちひしがれただろう。

 何百という夜を越えたって、幾千という朝を迎えたって、これっぽっちも色褪せやしない。忘れられる訳がない。

 君と過ごした時間はどれも鮮やかに、瞳を閉じれば、──ほら。


 怖いくらいに、覚えてる。


 俺を見つめる君の瞳。
 慈愛に満ちた優しさの眼差し。

 俺を呼ぶ君の声。
 耳から離れてくれないんだ。


 恋しい、って、思う。
 君が恋しい。恋しいよ。

 恋しくて、悲しい。


 知らないことがたくさんあった。
 君とじゃなきゃ見れない景色が、たくさんあるはずだった。

 なのに、君はもういない。

 知りたいことがたくさんあった。
 君の見てきた世界を、君を育んでくれた世界を、この目で見てみたかった。

 なのに、俺は手離すことしかできなかった。そうすることでしか、君を守れなかった。


 だから、君がいない。


 会えないんだ、……もう、二度と。

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